では、昨日の散策を詳しく書こう。
朝天気予報を見たら晴れだそうだったので、山の上からの眺めがいいかなと思った。そして、暑くなる前に大山街道の終点まで歩きたかった。だから、案内本を持って、出発した。先ず、伊勢原市まで電車で、そしてバスで出発点の石倉橋まで行ったので、本格的に出発できたのは、11時過ぎたところだった。やっと大都会を脱出して、街道沿いには民家が軒を連ねたものの、畑や山が高層ビルに代わって背景になった。天気がちょっと曇ったが、気持ちよく散歩できた。東京からそんなに遠くないのに、田舎の気分だったので、あそこに住めばよかったとも思った。しかし、確かに生徒さんは少なさそうだ。それは過疎地の問題の原因だね。仕事はなければ、環境の良さが決め手にならない。
大山に鎮座するのは、阿夫利神社だ。第一鳥居は伊勢原駅の北口に立つし、第二鳥居は出発点への道の途中にある。第三鳥居は、ちょっとだけ歩いたらくぐったので、神社に近づく感じは強かった。すぐに先達の旅館が現れ始めた。先達と言うのは、江戸から大山へお参りする講という集団を導く役をした人だが、大山の麓に宿泊施設も営んだ。日本で旅行会社の発祥だと言われる。この宗教的な活動の面影はまだ濃い。例えば、写真に見えるように旅館の前に玉垣があり、玉垣に寄付した団体の名称も刻まれた。それに、入り口の上に注連縄を飾った旅館も少なくなかった。つまり、単純の娯楽施設ではなく、清浄が重要な宗教的な場所であることを沈黙で強調する。大山にさらに近づくと、修行の為の滝もある。滝の下に階段があって、簡単に落ちる水の下に入れる。どのぐらい使われているか分からないが、階段などが新しく見えたので、まだ生きている習慣と思ってもいい。
それからこまざかという土産店や食事処が多い道を進めば、ケーブルカーの駅で出てくる。私がこまざかでお昼を食べたが、ざるそばと豆腐の大山らしいお昼だった。駅に着いたら、無視した。あそこまで歩いてきたので、山頂まで歩くつもりだった。だから、案内本のお勧めに従って、女坂を上り始めた。下には「らくらく女坂」との道標があったが、それは比較的だろう。「きつ〜い男坂」との道標もあったが、女坂は楽々であれば、男坂は恐ろしい。険しい階段は多かったし、かなり上がった。そして、途中で大山寺を通り過ぎて、仏教的な石造物も多かった。明治時代の前に大山で神仏習合が根強かったようだが、修験場だったと言われる。
上がってから、やっと阿夫利神社の「下社」に到着。山頂までの登山の為の飲物を買って、出発した。登山口の前に祓串が備えられたので、自分のお祓いを行ってから登り始めた。すぐに降りる人とすれ違ったが、一人が声をかけて「山頂まで行く?霧は凄い、真っ白だよ」と言ってくれた。でも、楽観的に見て、山頂に至るまでにはれるかなと思って、進んだ。それに、最後まで絶対歩くとの決心もあった。
しかし、登ったら、霧が濃くなった。富士見台というところに辿り着いたら、富士山は確かに見えなかった。木々の間に霧が流れることも見えてきたし、枝から水の粒が落ちた。だが、諦めないことにして、登り続けた。登り坂でちょっと誤算してしまったことに気づいた。予想より時間がかかったし、足も疲れてきた。だが、酷くはなかったので、最後まで目標を捨てずに進んだ。最初に降りる人は多かったが、すぐに人影が消えたので、霧に包まれた杉の中から天狗が現れても驚かないほどだった。(実に出現したら驚いたと思うけれど。)登山道の下半に至る前に、見所は三つあるが、それを過ぎたら消えた。それは、周辺の興味深い点がなくなるからではなく、登山者はもう疲れて、回りより足下に集中したからだろう。
いよいよ鳥居が見えてきて、もう少し登ったら山頂に立った。霧のため何も見えなかったし、誰もいなかった。山頂の神社などは、シーズンが本格的に始めていないために封じられたし、1200以上メートルの山頂で寒くなった。ゆり子に「できたよ」メールを送って、すぐに降り始めた。(山の山頂でも、携帯でメールができる時代だね。)
降り始めたら、足がむくむかのように感じたが、幸いそれがすぐに治った。だが、足は疲れて、飲物も足りなくなって、エネルギー補給の為のチョコもちょっと少なかった。降りている間に「最後のケーブルに間に合うように」祈るばかりだった。残念ながら、叶わなかった。下社の下の売店に着いたら、もう閉店しようとしたが、飲物とチョコを買って、ちょっと休憩してからまた女坂と挑戦した。できないとは思わなかったが、やっとバス停に辿って、席に座ったらほっとした。
だから、ちょっとだけの誤算だった。結局計画通りにできたが、最後の方を楽しんだとは言えない。山頂の本社の御朱印も頂きたいので、また登るつもりだが、必ずバスやケーブルを使って登る。そうすれば、楽しく登ったり降りたりできると思う。
大山街道を赤坂から大山山頂まで歩いてきた。東京都と神奈川県の雰囲気を十分味わった。興味がある方に勧めるが、最後の一日は、石倉橋からではなく、絶対追分からしてください。その方が楽しいと決まっている。