厚木神社の鎮座地は推測し難くないだろう。大山街道に面して、厚木市の市街に差し入れた境内だから、特に狭いとは言えないが、確かに広くはない。木々もあるが、鎮守のモリになるかと言えば、そうではないだろう。案内板によると神社の御祭神はスサノオの命とほか6柱だそうだが、境内には稲荷神社や水神宮の末社もある。併し、駐在神職はいない。それでちょっとびっくりした。由緒はともかく、厚木神社はかなり大きな街の真ん中に鎮座するので神職を賄える収入があると思ったが、そうではないようだ。都心から離れる次第、駐在神職が少なくなるだろう。
もう予測したかもしれないが、この神社の雰囲気も特に気に入らなかった。周りは建物ばかりだから雰囲気がよくないかもしれない。
そう言っても、気になった境内社があった。それは水神宮だった。石造の台の上に載った木造な祠だったが、その前に石造で立派な鳥居が立ったし、祠の隣に「水神宮」と書いてある石碑もある。それに石碑はちょっと古そうだったものの、祠と鳥居は新品だった。境内は川に近いので、水神を崇めるのは当然だが、このぐらい新しい祠や鳥居を建てるためにかなりな資金が必要だと考えなければならない。だから、この無名な神様を篤く崇める人がまだ神社の周辺にいるのが分かる。それに、新しい祠の隣に石造の小さな旧祠のように見えるものが保存されたので、もう使われなくなった祠も大切にされたことさえ分かった。
厚木市には川は経済の支柱になったとも思えるし、氾濫のときに市民の生活を脅かしたことも想像できるので、ここで水神を崇めても確かに不思議ではないが、川の力を殆ど抑えることができた現在にもこれほど崇敬されたことは興味深い。水神宮の隣に稲荷神社もあるが、稲荷神社には崇敬の証拠も多かったが商売繁盛を神徳とするお稲荷さんが街で崇敬されるのは普通だろう。水神の崇敬はちょっと特別だったような気がした。
とにかく、この神社にお参りしたら、駅に向かって帰ろうとしたので、二月の大山街道の神社の報告がここで終わる。ちょっと遅れたよな。