大山街道の目的地に近づけば、山脈に入る。山から流れて下りる川が滝になる所もあるが、この愛宕松尾神社が鎮座する場所は滝の一つの隣だ。写真で分かるように、社殿は祠の規模で、鳥居が直前に立つので神社の境内があるかどうかは言い難い。愛宕神社は京都の方に山に鎮座する神社だし、松尾大社は、同じく京都地方に滝のところに鎮座する神社だから、この由来で祠の御祭神が選ばれたかもしれない。
しかし、祠は目立つ規模ではないと言えども、この神社には重要な役割があるようだ。滝の写真を見たらすぐに分かる。簡単に滝の下に入れるように階段が設けられたし、滝の下の池が整備された。要するに滝の下の修行をする人はかなりいることが分かる。
このような修行はもともと仏教の儀礼だったことは周知の通りだが、前にも述べたように神仏分離まで大山阿夫利神社は修験道の道場だったので、仏教か神道か定められなかった。(明治政府が修験道を禁止した理由の一つは、神仏分離はできなかったからだっただろう。)だから、盛んになった江戸時代にこのような仏教的な行儀は多かったと思える。それに、神道の中枢に据える禊は、水で清める神事だから、滝で身体を清めることは神道と合わないとは言えない。確かに川や海で禊を行うのは普通だったが、滝でもいいだろう。
私がお参りした五月にまだ寒かったので滝で禊をする人はいなかったが、見る機会があったら見たいと思う。するかどうかは別だけどね。