猊鼻渓

旅行の最後の日の火曜日に猊鼻渓{げいびけい}に行ってきた。平泉から電車で行ったら、一ノ関で乗り換えることになるが、一時間もかからない。漢字から分かるように、渓谷だが、川は浅くて奇麗なので、舟下りができる。舟にはエンジンなどはないので、人が棒で動かす。それはケンブリッジのパントという舟を思い浮かばせるが、環境は全く違う。

ゆり子と真由喜が崖と川の前でしゃがむ有名な渓谷で、崖は素晴らしい。火曜日の天気はよかったので、舟に屋根は必要なかったし、気温も暖かかった。そのため、頭の上の景色が充分楽しめた。その上、12時の舟に乗れたので日差しが渓谷の中に入った。水面からの反射が岩に奇麗な模様を描いた。

真由喜は舟が好きだそうだから、積極的だった。乗り場で魚の餌を見つけたら、より積極的になった。舟に乗って川を遡ったら、魚を見なかったが、舟から一旦降りたところで舟の反対側に集まったことが分かった。真由喜は勿論早速餌を与えたがったが、川沿いをちょっと歩いて他の見所があるので、一分ぐらい得さしてから待たせた。

真由喜が川の魚へ餌を投げるだから、下るときにその側にいるように座って、真由喜が喜んで魚に餌を与えた。魚も喜んだが、鴨が餌を奪おうとすることは多かったし、成功になった場合も少なくなかった。一方、大きな鯉が餌を落ち着いて食べるにたいして、鮎かの小さい魚が水から飛び出して食べたので、真由喜が歓声を上げた。舟下りで一時間強がかかったが、降りたら川沿いのレストランで美味しい昼食ができた。確か、たかこうさんというところだった。

猊鼻渓は小さな名所だが、とてもリラックスした雰囲気だった。旅行の最後の楽しみに最適だっただろう。

「猊鼻渓〜武蔵溝ノ口」と書いてある切符を握って、電車に乗って帰った。真由喜は新幹線が大好きなので、新幹線の中で私の駅弁を奪ったり、窓際の棚をピアノと見立ててひいたりして東京駅までの2時間あまりを楽しく過ごした。東京駅からの電車の中で寝てしまったが、帰ったら不思議なことにまた元気になってしまった。家族でとても楽しい旅行だった。


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