安曇磯良神は、神功皇后の神話で登場するようだが、この神社の重要な神事を始めた伝承があるという。この神事は、和布刈神事といわれ、神社の現在の呼称の由来である。
旧暦の元旦の夜中にに三人の神職が海に降りる。一人が大松明を持って周辺を照らすし、残りの二人がそれぞれ桶と鎌を持って
神話によると、この神事の時に限って海面が穏やかになるそうだ。昔は、竜女が海から出て、神前で舞をしたので、竜神も竜宮から出て、神社にお参りして、波を穏やかにしたという。海と竜神と関係は深い神社であるのは明らかだ。
今日、関門橋の下に鎮座するが、私にとって背景は良いと思う。関門海峡を渡る歩行トンネルの入り口の隣でもあるので、今でも九州から本州への渡航の守護神になっていると言えよう。境内はちょっと狭いが、雰囲気は良い。さびた建物も複数あったし、神職の生計は厳しいのではないかという印象だったが、その代わりに商売の印象は全くなかった。これは前にも触れた問題だ。信仰に支えられた神社が参拝者に賑わうべきだから、不特定多数の人に対応するための施設は必要不可欠だが、そのような設備があれば商業施設に似ているとほぼ決まっている。このようないい雰囲気を保存するために社家を苦しませるわけにはいかないので、解決策を考えるべきだ。今でも提案はないけれど。
個人的に、歴史が長くて伝統は強いこじんまりな神社は好きなので、この神社は好きだった。