櫛田神社は、博多の総鎮守として昔から崇められてきたそうだ。ご祭神は、大幡主大神、天照皇大神、素戔嗚大神だそうだ。天照皇大神は天照大神で、表記だけが違うし、素戔嗚大神は素戔嗚尊であるので、この二柱は神話からよく知られている神様であるが、大幡主大神はよくわからない。『神道事典』にも乗っていないので、この神様の性格はよくわからないが、神社のご神徳は不老長寿や商売繁盛であるそうだ。博多のような貿易都市に相応しい総鎮守になっているだろう。
櫛田神社の境内には摂社や末社も多くて、会館も社務所もあるが、鎮守の森は小さい方だ。つまり、年に鎮座する神社の典型例だとも言える。境内を歩き回ることも楽しいし、この神社を楽しんだのは私だけではなかった。
そして、この神社は博多の祇園山笠と深く結びついているので、境内には飾り山笠が一基常時に展示されている。素晴らしい。大きくて重そうだから、動かすのは大変なのではないかと思わざるを得ない。それに、人形などの飾りにも繊細な施しあるし、神話が描かれている。例えば、一面は神武天皇の東征だったので、紀伊半島で八咫烏に導かれたところが描写されている。だから、八咫烏があって、その八咫烏の上に日輪が八咫烏と太陽とのつながりを強調する。八咫烏の上に、天照大神が高天原に立っている。天照大神の後ろにも日輪が見える。
博多人は祭り好きだそうだが、櫛田神社はそういう印象だった。山の中で自然崇拝を中心とする心が落ち着く神社は少なくないが、櫛田神社はそうではない。むしろ、共同体の心の拠り所として、人気は少ない場合でも賑わいの雰囲気がまだ漂う。活気も神道の重要な要素であることをまた実感できた。