参宮

田圃の向こうに富士山が聳える
行きの新幹線から富士山は奇麗だった。
先日、伊勢の神宮へ参宮してきた。休養の目的もあり、一人で参ってきたが、こまめに家と連絡を取った。また家族で参宮することになるつもりに改めてなった。

新幹線と在来線で行ったが、伊勢市についたのは午後1時ぐらいだった。休養の目的を忘れずに、早起きを必要としない電車に予約した。快速「みえ」でお弁当を食べたし、伊勢市駅のコインロッカーに大きな荷物を入れたので、すぐに参宮に行くことが出来た。

最初は、もちろん、外宮。

式年遷宮をきっかけに伊勢市駅から外宮までの参道が整備されたので、印象がよくなった。そして、行き易くなった。翌日、新しい参道から100メートルぐらい離れた商店街を見たが、シャッター街になっていた印象だった。やはり、参宮者の流れが新しい外宮参道に集中している。外宮参道の印象はまだ内宮のお祓い町に至らないが、大きな差はない。再開発が続けば、同じような観光地になり得ると思う。

手前で灰色になった旧宮ですが、奥は黄金で輝く新宮です
手前は旧宮、奥は新宮
今の時期の参宮に決意した理由がある。去年の式年遷宮の後で、暫くの間新宮と旧宮が並び立つが、それは見えるのは20年に一度。そして、外宮への特別参拝を行えば、旧宮の瑞垣内まで拝観できる。私は神宮崇敬会に入会しているので、特別参拝はできる。そして、去年の8月のお白石持ち行事で内宮の新宮を身近に見えたので、外宮の旧宮も見えたらある意味で完成だと思った。

外宮に到着したら、大勢の方々が待っていた。団体での参宮だったようだが、百人ぐらいのではないかと思った。実は、参宮者の多さを強く感じた。雨が降る平日だったのに、両正宮での参宮者は多かった。特別参拝するため待たなければならなかったし、普通参拝していた方も絶えなかった。今年がおかげ参りになると言われていたが、正しくその通りのようだ。

おかげ参りというのは、60年毎に、式年遷宮のすぐ後でいつもにも増して大勢の人が参宮する現象だ。江戸時当初まで遡るが、前回は明治時代だった。計算すれば、戦後に起きたはずだったが、戦後の混乱のなかで実現されなかった。それから60年を数えたら、今回になる。去年の参宮者数は一千万人を超えたし、今年も多いようなので、本当にそうなるのだろう。

特別参拝の後で、旧宮の垣内に入らせたが、間近に見えるのは感動的だった。特に印象に残るのは、正宮の大きさと据え玉である。据え玉は、正宮の高欄に置かれる金物で、漆で色付けられている。神宮の建築で唯一の彩りになる。

外宮の正宮に参拝してから、宮域に鎮座する三つの別宮にも参拝した。多賀宮は豊受大神の荒御魂を祀るので、二番目にした。それから地主神の土宮。その場所の最期の別宮は風宮。この参拝が終わったら、ちょっと離れて鎮座する月夜見宮に参拝した。これも外宮の別宮で、月夜見命とその荒御魂を祀る宮だ。月夜見宮の鎮座地は独立しているので、独立した御朱印もある。

老朽で亀裂すた鰹木
倭姫宮の鰹木
それから、内宮の別宮へ参拝しながら、内宮へ向かった。昔の参宮を少しでも感じるために、歩いて行くことにした。(そして、歩くのがすきなのだ。)最初に参拝したのは、倭姫宮だった。これは一番新しい別宮で、大正時代末期に建立された。他の別宮と同じように式年遷宮毎に立て替えられるが、今回の順がまだ回っていない。従って、建物は20年の風雨にさらされ、鰹木の老朽は激しい。しかし、現在の鎮座地の隣の御敷地で新宮の建設の準備が始まっていた。

次は、別宮が四つ並ぶ内宮の月読宮だった。ここで、月読命、月読命荒御魂、伊弉諾命、伊弉冉命が祀られる宮が横並びする。月読命を祀るお宮は東から二番目だが、参拝すればそれから始まる。それから、荒御魂、伊弉諾、伊弉冉の順で参拝するのは普通だそうだ。神道の一般的な思想から考えれば、これは当たり前だ。天照大神の弟神である月読命は親が身の伊弉諾と伊弉冉より優先され、荒御魂より和御魂は優先されるし、そして最期に男神を女神より優先する。よく見たら、月読宮は残りの三つより一回り大きい。

それから、急いで内宮に向かった。特別参拝の終了までに到着したかったからだった。

幸い、間に合ったので、内宮でも特別参拝はでき、御朱印もいただいた。そして、天照大神の荒御魂を祀る荒祭宮と風日祈宮に参拝した。

まだ滝原宮、滝原竝宮、伊雑宮の別宮に参拝したことはないが、このお宮は伊勢市から離れているので、出来なかった。

この経験で知ったのは、日帰り参宮は充分可能であることだった。両正宮に限れば、そしてバスで移動すれば、簡単にできるようだ。覚えておく。

ところで、興味深いことに気づいた。天照大神と豊受大神の荒御魂を祀るお宮には、鳥居はなかった。他の別宮には鳥居があったし、月読命荒御魂を祀るお宮にもあったが、多賀宮と荒祭宮にはなかった。意味があると思うが、何の意味か分からない。

一泊の参宮だったが、この記事がもう長くなったので、二日目を後日の投稿にまかす。


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