最近のニュースで、韓国で産経新聞の元局長が起訴されたことが報じられる。その理由は、韓国の大統領の名誉毀損となった記事を公開した行為であるそうだ。記事は読んだことはないので、この事実の詳細について書かないが、「言論の自由」を訴えて、この問題を一般的に捉える声は多いので、一般的に論じたいと思う。問題は、政治家の名誉毀損に警察や検察がどう対応すべきか、である。
先ず以て、これは簡単の「言論の自由」ではないのは強調したいのである。政治家は一人の人間であるので、その人間の自由を守らなければならない。嘘の噂を普及することで、人の自由を厳しく縛ることはできるので、このような行為は問題視するべきだ。原則として、政治家も人間並みに扱うべきであるのは言うまでもないだろう。
そして、政治家について嘘の噂を普及することで、政治へ不正な影響を及ぼそうとする人もいる。政治的な敵について、過去に何回も詐欺を行ったと噂話したら、その政治家の人気度が落ちるのだろう。民主主義を防衛するために、政治家に根拠のない名誉毀損に効果的に反論する方法を設けるべきだ。その結果、噂を普及しないように命じることになる場合も考えられる。つまり、政治家の評判を暗殺することは、民主主義では政治家を文字通りに暗殺することと同じように権力に影響を与えかねないので、慎重に対応すべきだ。
他方、大統領などの権力者の批判を制限することは極めて危ない。言論の自由の一番重要な側面は、現役の権力者を厳しく批判する自由である。その批判は、合理的ではなくても、認めるべきだ。権力者を揶揄したり、馬鹿にしたりする批判は、重要である。なぜなら、権力者に抵抗する方法はそれ以外ない場合は多いからだ。
この問題にどう対応したら良いのだろうか。
政治家と一般人の間には重要な違いがある。政治家には後援会があることだ。(後援会はない政治家は、影響力は全くないので、一般人と同じように扱ってもかまわない。)名誉毀損があれば、後援会は反論するはずだ。根拠を探して、本人に確認してから、潔白の主張を公開するに違いない。(もちろん、検討の上で噂は事実であることが明白になったら、結末は違うだろうが、その場合「名誉毀損」とは言えない。)政治の論争の一部になる。その中で、政治家にそもそも反対する人は、噂を信じるに違いないが、政治家を応援する人は信じない。特に関心を持たない人は、双方の主張を聞いて、決める。これは普通の政治的なプロセスだ。
だから、法的な干与を控えるべきなのではないかと私は思う。影響力のある政治家の名誉毀損は、裁判での解決を拒否して、後援会の活動での反論に任せるべきだろう。「影響力のある政治家」の法律上の定義には問題があるが、大統領や首相、閣僚などは明らかに入る。国会議員は対象となることも予想できる。そのような人について完全に嘘をついても、法的な罰はない状態になるが、厳しく批判され、襲撃されることもある。(その襲撃は、言葉に限る。)ただし、一般人が権力者を批判すれば、その一般人の名誉毀損に当たる発言は、普通に法律の対象となるべきだ。法律で、特に力はない人を防衛するべきだ。
要するに、韓国の検察官の対応に賛同出来ない。権力者は、自力で名誉を防衛させるべきである。