『かんなぎ9』

神道の研究の一環として、神道をテーマとする漫画も読んでいる。神道はどう見られているか、そしてどういう点は重視されているかを把握するし、作品は良かったら楽しく読める。真面目な内容の本の間の休憩の役割も担う。

今回、『かんなぎ』の第9巻を読んだが、第1巻から読んできた。この漫画は軽くて楽しい漫画だが、神道のことも勉強したことがわかる。実は、それが浮き彫りになるのは、第9巻の次にアンソロジーコミックも読んだときだった。アンソロジーコミックは別な作者が同じ人物についての話を作るが、ラブコメのことは多くて、神道に触れる内容がほぼ消えてしまう。武梨氏が話を書くために神道を勉強したのは明らかになる。

話は、産土神の分霊が中学生か高校生が掘った木造から現れて、自分のことをよく分からず、謎の歴史を明かすことだが、ラブコメも色濃くて、主人公の学校での友達もオタクであるので漫画のファンについてのギャグもある。ラブコメだが、エッチではない。(とはいえ、第9巻で温泉が湧いてくるし、入浴シーンがある。)

神道の神概念に近い観点から描かれていると私は思う。分霊のことは正当な解釈であるし、穢れも重要な役割である。マジカルガールのような杖で祓うのは確かに普通ではないが、概念は合っている。そして、結びも重視されるし、神木の重要性にも触れる。現実的な神社の活動を把握するために全く役に立たないが、それは当たり前だ。神道の基礎概念を把握するために、悪くはないし、第9巻までの話は良い。登場人物の性格は可愛いし、絵も上手だから、楽しい休憩になっているシリーズだ。私は、読み続けるつもりだ。


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