誇れる日本

『神社新報』を読めば、よく「誇る日本を取り戻すべく」などのような表現に会う。しかし、この表現を読む度に、戸惑う。取り戻す必要があるのか、と。

日本の現状を考えてみよう。自然環境はもちろん素晴らしい。首都圏に住めば、肌で感じる機会は少ないだろうが、一旦都会を出れば、すぐにわかる。温泉も自然の宝物として捉えても良かろう。それでも、自然環境はただの偶然である、誇るべき様子ではないと言われるかもしれない。誇れるのは、日本人がやってきたことに限ったら、どうだろう。

先ずは、日本文化は世界中に憧れている。伝統文化を挙げれば、能楽や歌舞伎も世界中に知られているし、世界遺産にもなっている。和食も世界遺産になったのは記憶には新しい。このような文化はまだ生きている文化で、現在の日本人が維持している。それ以外の茶道も有名だし、空手や柔道も広く普及されている。世界中に知られているかどうかを別として、日本の工芸品も素晴らしい。

伝統文化に視野を限る必要もない。日本の映画やテレビ番組は、東アジアには人気を集めているようだ。アニメや漫画は、世界トップクラスとして一般に認められている。アニメ監督として世界一を上げようとしたら、宮崎駿氏が浮上することは多い。そして、『山賊の娘ローニャ』を見れば、宮崎吾朗氏も後継いでいるのではないかと思える。文学といえば、春樹村上氏の存在は大きいが、他の作家も重要な作品を提供している。

経済に目を転じたら、人口の日本の10倍である中国に国内総生産で抜かれたものの、日本はまだまだ経済大国である。生産業が空洞化にしていないし、サービス業も活発である。日本の電車などは有名だが、その評判の通りに使いやすくて素晴らしい。(個人の話だが、日本の鉄道を使用して移動することは大好きだ。)

外交を考えれば、70年間平和国として歩んできたことも珍しくて素晴らしい。

そして、「おもてなしの心」は政府や観光協会によって広く発信されているが、本当にある。もちろん、どこの国に行ってもそのような暖かい扱いと会えるが、日本では、どこに行っても会えるようだ。この優しくて丁寧な接し方は優れていると私は思う。

最後に、日常的であるので見られないことも誇るべきだと思う。例えば、東京の都心の喫茶店で人が席を取るためにスマホを置くことは少なくない。そうすれば、スマホも席も盗まれない。東京で落とされた現金は数億円程度で交番に渡されたし、その4分の3が持ち主に戻ったそうだ。東日本大震災の後で空き巣などはなくはなかったが、多くなかったし、大きな混乱はなかった。このように国民によって保たれた秩序は誇るべきなのではないか。

このような日本は今目の前にあるので、現在の日本を誇れなければ、問題は国側にはないと私は思う。


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