『朝霧の巫女』

これも神道の漫画だ。タイトルからわかると思うが、巫女が登場する。しかし、巫女は主役ではないと言えよう。

この漫画の世界は、表面だけ見れば、現在の日本であるかのように見えるが、実は違う。天皇は少女だし、皇位は女系で受け継がれているようだし、神社の神職の多くは女性なのようだし、そして日本はまだ帝国であり、帝国海軍も持っている。その上、陰陽僚はまだ政府の一機関である。超自然的な存在は頻繁に現れないが、国家などはその対応のために常に準備している。

正直に言えば、ストーリーについていくのはちょっと難しかった。その理由の一つは、第1巻から第6巻は、数年前に読んで、今回第7巻から始めたからだ。一応内容を覚えたが、詳細は忘れた。そして、話は重層的で、そもそも把握するために集中しなければならない。ちょっと分からない漢字も出てきたし。(しかし、大祓詞を万葉仮名で載せても、そのところは読めた。)

神道との関係を考えれば、深い研究や知識に基づいていると言えよう。記紀神話からの神様や出来事を漫画の話に組み入れて、そして南北朝の時代の歴史も使って、日本と神道の伝統に強く根付いている話になっている。神話をそのままに使うわけではなく、変貌させて独特な話を組み立てる。例えば、現れる神様の一柱は、縄文時代の焼物の模様に基づいたイメージだから、人間に全く似ていないし、ちょっと恐ろしい姿になっている。実は、そのような概念も神道の神観念に沿うと言える。

この漫画を正確に評価するために、もう一度読まなければならないと思う。数年間の空きがあったため、つながりについて何も言えないし、話の重層性をちゃんと見つめるために一気に読んだ方が良いと思う。ただし、この時点で主人公との共感は強くないので、話の展開を楽しみにしたとは言えない。その理由を考えれば、主人公が私に合わないだけだろう。背景で興味を持つ神道の神話が巧みに利用されているし、話の世界の展開は十分面白かったので、好きになるはずだったと言えよう。実は、前にも同じような経験があった。登場人物と気が合わないために、話の世界に溶け込めないこと。

つまるところ、この漫画は私の好みになっていない。しかし、それは単純に個人的な好みの関係であると思うので、他の人は好むのではないか。作りは良いし、知識と認識も良いし、現世界との違いも面白いので、このような漫画に興味を持っている人は、一度読んでみたら良いかもしれない。


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