環境問題とエネルギー資源の問題の解決策として、炭素税が良く掲げられる。このような税金は、二酸化炭素の排出量に相当する排出によって課税されるので、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの電力は非課税であるが、石炭を使う火力発電所の電力はかなり高い税率になる。そして、この税で得た年収は、再生可能エネルギーや省エネの開発に当てる方針も見られる。そうすれば、大きな効果が期待できると言われる。二酸化炭素を排出する電力を避けるし、再生可能エネルギーの発電が増えるし、それに受容されるエネルギーの量が減るので、二酸化炭素の排出量も大幅に下がるのではないか。
一方、問題は国際的な競争である。炭素税がある国で製作された商品の価格にはその税額が入っているが、そのような税金はない国で製作すれば、税額は入らないので、価格が安くなる。結局、当国で製作された商品は競争できないので、生産業がなくなる。国内の企業でも、工場を海外に設立するようになると思えるし、海外の企業の商品は安くなる。このような結末は良くない。
解決策は消費税に見える。消費税は、海外に売られる商品に課されない。一方、海外で製作された商品にも課される。だから、炭素税の仕組みを同じようにすれば、国際的な競争には影響はない。そして、課税は平等であるので、国際的な条約も問題になるはずはない。
炭素税は原則としてエネルギーを得る企業に納めてもらう。例えば、電力会社は自分の電力のために排出された量に相当する税額を収めるし、ガソリンを売る会社はそのガソリンの量に相当する税額を収める。もちろん、その金額を売り価格に加算することは予想される。結局、消費者が支払う。
輸出の場合、どうすれば良いのだろう。提案する。使われたエネルギーの量の平均的な炭素税の税額を返還してもらうことだ。例えば、電力を使用すれば、その電力の量の全国的に平均として使われている二酸化炭素排出に相当する税額を返還する。そうすれば、特に排出量は少ない方法を採用する会社は、支払った炭素税より多額な返還金を受ける。それは目的だ。企業に、より効率が良い方法を探るように促すからである。もちろん、このような利益は短期的だ。多くの会社がそうすれば、全体的な平均が下がるので、利益がなくなる。この税制の目標は二酸化炭素の排出を削減することだから、これは良いことだ。
輸入の場合も、同じような仕組みにする。生産された国のエネルギーに当たる平均的な二酸化炭素排出量から計算する。輸出する企業は、この税負担を軽減するために、低炭素社会の国で生産しようとするし、進出した国での二酸化炭素の削減を働きかける。日本の市場は小さくないので、日本がこのような政策を取用したら、世界中影響を及ぼすのではないか。
税率は、段階的に引き上げるべきだ。最初は、石炭で発電された電力の価格の5%程度に相当すれば良かろうかな。15年間で、50%を目指せば良いかもしれないが、低炭素社会への進み具合が滞れば、調整するべきだろう。
このような税制の政策を取用すれば、政府には二酸化炭素削減の具体策を考えなくても良い。そして、業界によって、一番適した方法を採用できる。だから、このような解決策を導入するのは望ましいと私は思う。