外国人市民の子育て

川崎市外国人市民意識実態調査に答えてくれた方の40%は18歳以下の子供と同居していた。(その聞き方は、今でも子供であること、そして扶養していることを重視したが、生物学的に自分の子供であるかどうかのは重視していなかったからだ。)子供がいる確率は、目で見れば国籍や住居の区によってあまり変わらないようだ。もしかして、統計的に有意な差はあるかもしれないが、大きな違いにはならない。

嬉しい結果は、子育ての殆どの分野で外国人市民の過半数は困ったことはないことだ。問題はない方が良いのは常識だろう。唯一の例外は保育園・幼稚園の分野だが、それでも48%は困っていないし、一番困った問題は、保育園に子供を入れたかったのに、入れなかったことだった(25%)。調査チーム内でこのことを話し合った時も、これは特に外国人市民の問題ではなく、市民一般の問題であることに一致した。確かに、外国人市民の困る割合と日本人市民の困る割合を比較した方が良かろうが、この問題は広く認められているので、川崎市が解決に向けて動く可能性はそもそも高い。横浜市はもう待機児童ゼロに達成したし。

それでも、指摘するべき問題がある。例えば、14%弱は、予防接種の案内はよくわからなかったと言った。これは、外国人市民の子供の健康に対して、そして日本人市民の子供に対しても重要な課題である。案内の多言語化やより分かりやすい言い方について検討すべきなのではないかと思える。

教育環境では、園児年齢の子供の86%が保育園や幼稚園に通っているそうだ。これもいいことだと思う。保育園や幼稚園に通う子供は、他の子供と接して、社会の一員として溶け込むことはできるので、外国人市民の子供が他の子供と一緒にいることは良い。そして、ママ友やパパ友で、外国人市民が他の市民と繋がることもできる。学校に進めば、75%が日本の学校に通っている。これも良いことだと私は思う。この投稿で詳しく論じないが、私は、外国人市民が日本人市民と区切った区域に住まない方が良いと思い、子供が一緒に教育されるべきだとも思う。ここでちょっと気になることは、外国人市民の子供の進学率はちょっと低く見えることだ。大半は少なくとも高校まで進学するようだが、7.5%が進学しなかった結果だった。日本人の子供の進学率は、文部科学省によると、97%を超えているそうだから、外国人市民の子供に対する支援は必要なのではないかと思えるだろう。

そして、家庭内で話す言語は、日本語も話すのは85%に登る。子供は日本語ができなかったら、日本での生活に困るので、この結果も良いと思う。残る15%は、もしかして親は日本語ができないが、それは調べていない。それでも、85%は日本語を使っているので、緊急な問題はなさそうだ。実態をもう少し詳しく調べてから対策は必要かどうかを決めた方が良かろう。例えば、その15%は親は短期的に会社の移転によって日本で住んでいるが、2年後また母国に移住するつもりであれば、問題にならない。子供は外国語の環境で生活をするので、日本語の能力はちょっとだけであっても、貴重な経験になる。一方、日本に永住するつもりがあれば、日本語を話さないのは問題になりかねる。

もう一つ重要な発見は、前にも触れたが、外国人市民の子供の半数は日本国籍を持っていることだ。この調査以前、市はこの事実を把握していなかった。日本国籍を持っていない子供は、住民基本台帳から分かるが、日本国籍を持っていれば、透明人間になってしまう。これは問題ではないが、他の問題と取り組む場合、川崎市は外国にルーツを持つ子供は、日本国籍を持たない子供の倍ぐらいがいることを忘れてはならない。


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