細胞内のリサイクル

今回の科学についての投稿で、細胞の構成と動きについての記事を紹介する。主に紹介する記事は、東京工業大学の研究チームの成果を発表する論文だが、普段のようにNatureに載った解説の記事に基づく。この投稿で新しい言葉はたくさん載ると思うので、私の勉強にもなる。

健康な細胞にはオートファジーという機能がある。これは、細胞が自分の一部を解体する機能だ。「自食」とも呼ばれるそうだ。(オートファジーは古代グリシャ語で「自食」の意味なのだ。)この機構は様々なことに使われているようだ。例えば、細胞の一部には問題があれば、オートファジーで解体して、部品のタンパク質を別な機構に使える。そして、もう必要ではなくなった部分があれば、そのタンパク質などをリサイクルできる。この機構が壊れたら、病気の原因になるそうだ。

もちろん、タンパク質などを解体する行動は、細胞にとって危ないのだ。細胞の全てはそのような化学物質によって構造されているので、オートファジーが乱れに働けば、細胞を全体的に解体してしまう恐れもある。それを防ぐために、オートファジーはオートファゴソームという構造の中で行われている。オートファゴソームは、風船のように結界になるので、オートファゴソームの中で働くオートファジーは細胞の全てを解体しない。だから、オートファジーの対象とする部分を、オートファゴソームに入れなければならない。

今まで、その方法はよくわかっていなかったようだ。長い間、ただ単に適当に部分を入れて、解体すると思われた。特定の部分ではなくても、細胞の中の位置や量をコントロールすれば、効果をコントロールできる。しかし、最近の研究で、そうではないことが明らかになっている。細胞の構造の特定された一部をオートファゴソームに入れることはできるようだ。

今回の論文は、その方法の一部を明白にした。酵母の細胞での研究だったが、この機構は真核生物の全てに見つかるので、この結果は決して人間にも関係すると思える。今回の研究の対象は、小胞体という細胞の構造だった。小胞体は、確か、タンパク質などの移動や合成に関わる機構である。この研究で、小胞体にあるタンパク質がオートファゴソームにあるタンパク質と関わって、小胞体がオートファゴソームに入るようにするそうだ。そして、このタンパク質の機能を壊すと、酵母が病気になる。(大きくならないとか、ゆっくり発達するなど。)

このような成果は、オートファジーの理解に貢献して、数年間の研究を加えたら病気の治療にも貢献するだろう。でも、今の段階では、細胞の動きの理解を深めた結果であると評価しよう。


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