英語で、可能性を表す言葉は複数ある。この投稿で、その三つの「would」「may」と「might」を説明する。生徒さんと話したら、この違いは確率の高低によって決まるのではないかと思う人は多いようだが、そうではないのである。順番に紹介すれば、わかりやすいと思うのでは、そうする。
まず、「would」。「would」は、「仮にこの状況が実現されたとしたら、きっとこの展開になるだろう」という意味だ。つまり、可能性が関わるのは、状況が実現するかどうかについてだ。その状況の中の展開はよくわかっていると主張している。
そして、「may」は、「このような状況のなかで、こういう風に展開することはあるが、毎回ではないので、今回は必ずそうなるとは限らない」という意味だ。「may」は、許可を表す意味もあるが、存在の能力を表すことは多い。
最後に、「might」は、「はっきり何も言えないが、このような展開も除外できない」という意味だ。
説明だけでは不十分だから、例も挙げよう。
「If he became Prime Minister, he would invade China.」「仮に彼が首相になったとしたら、きっと中国を侵略するだろう。」この場合、この候補の性格や政策はよく分かる。権利さえあれば、中国との戦争を起こすに違いない。ただし、首相になる可能性はゼロである場合もある。例えば、引きこもりで、ただネットで乱暴な言葉を表す人であれば、首相にはならないが、仮になったとしたら、このようなことは言える。だから、「would」は、極めて低い確率と一緒に使える。一方、確率が高い場合でも使える。「If I went to the cinema, it would cost ¥1800.」「仮に映画を見に行ったとしたら、きっと¥1800がかかるだろう。」という意味だが、映画好きな人であれば、映画を見ることは多いだろう。実は、「would」は仮定法だから、仮説について話すための言葉だが、その仮説の確率は関係ない。重要なのは、今の時点で実現されていないことだ。
「If he becomes Prime Minister, he may invade China.」「もし首相になったら、もしかして中国を侵略するだろう。」この場合、この人なら侵略しない可能性もあるが、侵略するための条件は揃っている。例えば、武力で問題を解決することには肯定的な態度をよく表すとか、中国の動きを懸念するとか、領土問題を強調するなどのことは多いし、問題の事前防止のための戦争も訴えている人であれば、この人には侵略する可能性は十分潜んでいると言えるのではないか。しかし、首相になる確率も低いこともあるし、首相になったら侵略を命じる確率も低い場合もある。逆に、その確率は両方とも高い場合も。
「If he becomes Prime Minister, he might invade China.」「もし首相になったら、中国を侵略する可能性もある。」この場合、人の性格はよく分からない。もしかして、絶対にそのような武力行為をしないかもしれない。しかし、それを保証する証拠はない。他方、実の確率は高い場合もあるが、その証拠は不十分で、より強く言えない。
つまり、この言葉の違いは、確率の高低ではなく、確率はどこにあるかである。不明なのは、状況が実現するかどうかだけであれば、「would」になる。(場合によって、「will」になることも。「If he becomes Prime Minister, he will invade China.」これは、選挙の前に有力候補について言えることだ。その場合、実に恐ろしい。)もし、この状況でするかどうかは不明だが、そのような状況でできることは確実であれば、「may」が相応しい。そして、状況でどうするかということも、能力の状況も不明であれば、「might」になる。
話し手の知識を表す言葉だから、文章から判断するのは難しい。話し手の状況を聞かなければならない。そして、曖昧な場合も少なくない。だから、ネイティヴの間でも、使い方が曖昧になる。特に、自分の意思について話す場合、「might」と「may」をほぼ同じ意味で使うことは多い。なんでも決められるが、まだ決まっていなかったら、どちらの場合であるかは不明だからである。
これは難しい使い分けだが、覚えて欲しいのは、原則として確率の高低とは無関係であることだ。