川崎市が行われた外国人市民意識調査で、差別的な経験を被った外国人市民が半数ぐらいに上ったことが分かった。しかし、この調査は外国人市民のみを対象としたので、日本人市民の立場はまったく把握されていない。外国人市民が差別を経験すれば、問題があるのはもう明白だが、問題の真相はまだ把握できていないと言える。例えば、日本人市民は皆外国人は素晴らしい人間だと思い込んで、近づくことは畏れ多いことであると思って、敬意の余りで差別的な印象を与えてしまうとしたら、外国人を軽蔑したり憎んだりする状況と根本的に違うが、外国人市民の経験として同じになることもある。もちろん、事実はそれほど極端であるはずはないが、その場合日本人の考え方を把握することは重要である。
しかし、調べるのは簡単ではない。「あなたは人種差別者ですか?」という質問であれば、「はい」と答える人は非常に少ないだろう。そして、問題の一部は、日本人市民はどのように外国人市民を考えているかということだ。そのため、「在日韓国人をどう思いますか?」とも聞くわけにはいかない。なぜなら、質問で「在日韓国人」は考えの上で重要な人間の範疇であることを前提としているからだ。実はそういう風に考えていない可能性もある。
「人種差別は悪いことだから、私は人種差別者ではない」という無意識な考えで本音が本人にも隠される現象は、欧米ではよく知られている。アンケートがあれば、社会的に認められた答えをする人は少なくないので、その問題を回避する工夫は必要である。一つの工夫は、「自分の周りの人は、どう思いますか?自分の意見は違っても、周りの人について答えてください」という形にすることだ。この場合、「周りの人は不正なことを認めるが、私は認めない」と思っても、「不正を認める」と答える。そして、差別的なことが課題となったら、周りの人からの印象は、外国人市民の環境も構造するので、直接に関わる。それだけではない。周りの人が自分に似ていると思い込む傾向は強いようだから、周りの人は差別的であると答える人も差別的である可能性は高い。もちろん、例外は十分あるが、統計的な分析のために、足りると思われる。個人の差別者は特定できないが、一般的な態度は把握できると思われる。
そして、結論ありきの質問を避ける方法も考えなければならない。これは難しい問題だ。今思い浮かんだのは、顔写真を使うことだ。写真を見せて、関連する言葉を三つ選択してもらう形にしたら、その言葉の候補を提供すれば分析はできる。ある顔は、ある言葉とよく関連することは統計的に検討できる。理想は、老若男女を含めることだが、肌色などごとにそうすれば、顔写真の数が莫大になるので、アンケートが無理になるだろう。だから、外国人の種類を調べるために、とりあえず男性か女性か、そして一つの年代に限ったほうが良いのではないかと思う。それでも、アジア人の複数の種類や欧米人、南米人、アフリカ人などを加えたら、ハーフも入れなければならないので、それでも20人程度になるのではないかと思う。その場合、男性か女性か、年代は、入手できる写真によって決めたほうが良い。(バラバラであれば、性別などの影響もあるので、結果の解釈が困難となる。)
この計画から明らかであるが、このようなアンケートはただの第一歩に過ぎない。それでも、第一歩を取らないと、進めるわけはない。