先日、川崎市人権施策推進協議会外国人市民施策部会の会合が開かれ、出席した。会議で詳しく紹介された事業の一つは、川崎市麻生区の区役所でのテレビ電話通訳サービスだった。このサービスは、区役所の窓口に日本語が不自由な方が行けば、タブレット端末で通訳を提供する委託会社とつながって、通訳をしてもらうことだ。今のところ、三つの言語(英語、中国語、韓国・朝鮮語)と手話の通訳があるようだ。それは、麻生区のニーズに合わせる選択肢であるそうだ。この通訳は、区役所の届出の手続きを支援するためだということだ。つまり、相談相手を提供するつもりはない。1件で原則として15分だから、相談にはならないのは明らかだ。(話によると、ややこしい手続きで時間がちょっとオーバーしても対応するそうだが。)年間の件数は少ないが、その場合大変助かるそうだ。
それはそうだと思う。この施策は大変良いことだと言いたいのだ。確かに、外国人市民にはこのような事業が解決しない問題は多いのだが、一つの事業ですべての問題を解決することはできない。このような通訳があって、外国人市民は気軽に、少なくとも日本人と同じような苦労で、必要な届出ができるようになる。そもそも問題はない家庭であれば、届出はできれば大きな問題は発生しないと思える。健康保険や年金制度にちゃんと入れるし、教育関係の登録もできるし、市からの情報も届くと思われる。必要な手続きはできない場合、後で問題に発展することは多いだろう。つまり、問題の未然防止策として期待できる。
そして、このような記入サポートで解決できない問題を抱える外国人市民は、より手厚いサポートを必要とするが、その限られた人材は、比較的に簡単な通訳に時間は費やさないので、本当に必要となる場合に集中できる。だから、間接的に深刻な問題の解決ともつながるだろう。
この事業は、麻生区が独自行われることだが、他の区も同じようなことを検討しているようだ。これも歓迎するべきことだ。後押ししたいと思う。すべての区役所に同じような通訳が提供されたら、外国人市民の生活の大きな助けになるのは明らかだ。もちろん、提供する言語は区によって異なる。(というより、区によって増やさなければならない。その三つはどこでも必要とされるが、例えば川崎区ではタガログ語もタイ語も必要となるそうだ。)そして、区によって、その導入の仕方が異なっても良い。市の事業として一律で導入しなくても構わない。ただし、すべての日本語が不自由な外国人市民には使えるようになれればと思う。