共食

先日、直会と神様との共食の位置付けを区別したが、共食の祭祀についてまだ考えていない。前に述べた通り、明治以降一般の神道祭祀から取り除かれているが、宮中の新嘗祭には数時間をかけて天皇陛下が御手ずからで共食を供えられるそうだ。もちろん、神産霊神社では小祭の場合それほど手厚い供え方はしないが、概念として適切であることは明らかだ。

では、その式次第はどうすれば良いのだろうか。まず、小祭を考えよう。小祭は、気軽に執り行ってもらえる祭祀なので、難しい儀式は含まない。つまり、大変簡単な軽食にするべきである。形式の食事でもよかろう。神道の伝統的な神饌を考えれば、お餅とお酒が一番良いのではないかと思う。(個人的に、好物ではないが、私の好物を取り入れることではない。)お餅は、柔らかい餅で、小豆を入れたら良いかもしれない。なぜなら、食べやすくなるし、それに紅白の色が入るからだ。そして、小さな杯とお皿でできるし、飲食には時間もかからない。お餅は、ひと口で食べられる大きさが良い。

式次第の基本的な流れも難しくないだろう。まず、供饌の儀で、この飲食物を奉る。そして、共食の儀になると、参列者に配って、同時に召し上がっていただく。ただし、その詳細は難しい。

では、一つの三方にお皿に載っているお餅と小皿を用意する。お餅が載っているお皿は、神様に向かう方に載せて、小皿を二つに分けて、その後ろの左右に載せる。小皿の後ろに、ピンセットのお箸を載せる。(ピンセットのお箸は、古式の祭祀によく使われているので、ここに取り入れる。)同じように、お酒は、瓶と平らな杯を一つの三方に載せて、お酒を神様の方に、杯を二つに分けてその後ろの左右に載せる。最初は、この2台を神前に供える。

共食の儀になると、祭員がまずお酒を徹して、参列者の方へ持つ。参列者の代表がお酒を杯に注いで、その杯を三方に載せる。そして、三方を祭員に渡して、神前にまた供えてもらう。それから、参列者が順番に前に進み、お酒をいただく。全員が同時に飲み干す。次は、祭員がお酒を横に片付ける。そして、同じようにお餅をする。お箸を使って、お皿から餅1個をとって、小皿に載せる。まず代表者が神前に供える。それから、参列者がいただく。

祭員は、共食に直接に参加しない。このような氏子祭の小祭では、神職などは仲執り持ちであり、祭祀に参加していない意味もあるからだ。寧ろ、参列者と神様の間を取り、参列者が奉るものを神前に供えるし、参列者の飲食を神様に代わって配る。

この次第は、少数の参列者の場合に適切である。しかし、参列者が数十人を越えれば、時間が相当かかる。その場合、最初から複数の三方に分けて、数人を同時に受けてもらったら良かろう。ただし、参列者が数列になると、その移動も問題となるので、また考えなければならない。

共食の概念は、神様と一緒に食べることで、ご利益やご加護をいただき、神と一体になる。この概念をどうやって祭祀次第に取り入れるかは、後日に考えたいと思う。


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