大祭の概要

今まで氏子祭の小祭と中祭の次第を描写してきたが、氏子祭の大祭はまだ残っている。大祭はもちろん中祭より踏み込んだ内容になるが、具体的にどうなるかは、これから考えたいと思う。

先ず、基本的な構造は変わらない。つまり、祭祀の前には修祓がある。祭祀の構成は、降神の儀、供物の供え、祝詞奏上、共食の儀、昇神の儀の順で進める。最後に、直会で潔斎を解除する。

大祭は、参列者にとってとても重要な出来事と関わる。だからこそ、時間をかけて、非日常な世界に移動させる構成は良い。大祭の祭祀は、本殿の前の斎場で斎行するので、社殿の奥へ進む。斎場は、中祭に参列する場合でもよく見える場所ではないので、斎場に入ること自体は日常から離れている。それ以上の神聖な気分を湧き起こすために、修祓には1泊の参籠を必要とする。直会の規模もちょっと大きくする。

修祓と直会を含めて、大祭には24時間程度がかかると想定する。24時間を確保するために、普通のスケジュールを変えて、特別な準備は必要である。このような計画を立てるのは、日常からの乖離を感じさせる。他方、大祭は一般の氏子崇敬者が参列できる祭であるので、24時間で充分とする。工夫しても24時間取れない人は極めて少ないと思うし、他の障害と同じような頻度になるだろう。

ただし、大祭は、誰でも連絡して予約できる祭ではない。小祭と中祭は、条件はない。特に中祭の場合、服装なども一切問わない。(中祭の修祓の一部として和装に着替えるからだ。)小祭と中祭は、原則として社頭に出て、申し込めばその日誰でもできる祭である。大祭は、神社と縁を持たなければならない。これも、気持ちの醸成のためである。神社に対して娯楽の気分ではなく、信仰心を必要とするが、縁はないとそのような態度は保障できる。もちろん、縁があっても、絶対的な保障はないが、可能性がかなり高まる。神社との縁は強い人は、社頭でその場で大祭を依頼することはできるが、1泊の修祓は必要だから、その場斎行するわけではない。

初穂料の問題もある。神道の原則は「お気持ち」であるが、「お気持ち」を「¥5000以上」とする神社は多い。これも基本的に良い考えである。神社の経営を支えるのも重要だし、人間は、お金を出したものをより大切にする傾向もあるようだ。しかし、お金持ちではない人には大祭を拒否したくない。(中祭も同じだ。)幸い、祭祀を行うために、主に祭員の努力は必要である。そのため、費用を柔軟に扱うことは可能である。

これを考えて、必要な縁と円を先ず考えて、そして修祓の次第を定める。それから祭祀自体を考えてから直会を描写したいと思う。


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