氏子大祭をどこで執り行うかは、次に考えたい点である。もちろん、中祭より奥に執り行うべきであるが、具体的な斎場を定めなければならない。
もともと、露天の斎庭で執り行うと思ったが、考え直してきた。外で祭祀を執り行うことは、神道の伝統に根付くが、屋内の祭祀にも長い伝統がある。その上、氏子祭は、氏子の祈願などのための祭りだから、祈願者の便宜も考えたほうが良い。特に、大祭のために、事前予約も必要だし、少なくとも前日から準備をするので、悪天候が祭祀の邪魔になることはよくない。
ただし、室内の祭祀とすれば、どこで斎行したら良いのだろか。中祭は幣殿の奥で執り行うし、そして本殿の中はありえない。本殿の中で祭祀を執り行うことはあるが、例大祭に限ることは多いし、式年祭にしか執り行わない神社もあるようだ。氏子大祭は毎日執り行わないかもしれないが、資格を持つ氏子はいるでも依頼できるので、本殿を斎場とするのは相応しくないとしか考えられない。
一つの選択肢は、本殿の周りに回路を廻らせることだ。そして、回路の中で祭祀を執り行う。回路から本殿が見えるが、回路が存在するからこそ外からはっきり見えない。もう一つの選択肢は瑞垣の中の門を築いて、門の中で祭祀を執り行う。そして、本殿の前の小川を渡る橋を設けて、橋の上で祭祀のための部屋を築くことだ。
橋と門の選択肢は個人的に魅力的である。なぜかというと、境を超える瞬間を象徴するからだ。それは、普通の生活と神聖な区域の間に立っていることを思わせる。それに、そのような場所で儀式を行うのは普通ではないので、その非日常の気分も沸かせる。このような建築を持つ神社は存在するが、例は多くない。
幣殿の奥に扉を設けて、その奥には橋があれば良かろう。本殿側の橋の出口には壁などはないようにして、本殿と斎庭をはっきり見えるようになる。しかし、橋から降りることはない。
しかし、こうすれば、本殿の扉を開けるのは難しいが、大祭の場合本殿を開けるのは相応しい。入るのは適切ではないが、開けるのは通常の儀式である。
やはり、この点について、もう少し考えなければならない。やはり、本殿の独立させたいと思うが、それは神宮の形のようだ。同時に、室内の祭祀で本殿の扉を開けるような儀式は入れたい。こう書いたら、矛盾は明らかだから、その解決を考えなければならない。どちらを優先するのかは、何を表したいことによって決めよう。