大祭の斎場の問題をちょっと考えて、案を考えた。それは、奉殿を設けることだ。
社殿の配置を復習しよう。流造の拝殿は玉垣のところにある。その両脇の奥から、小川や玉垣を超えて、住吉造りの幣殿二つが斎庭を構成する。そして、幣殿の奥には、また瑞垣があるが、その向こうに瑞垣に囲まれた神明造の本殿がある。奉殿は、本殿の瑞垣の中に設置する。本殿の向かって右の前にして、奉殿の内側が本殿の外側のちょっと外の方に置く。つまり、瑞垣の鳥居から見れば、本殿までの視線の邪魔にはならない。そして、奉殿は大社造とするが、前と奥の側面には扉を作る。
大社造とは、出雲大社と同じ建築だが、正方形の社殿で、入り口は中央から避けている。前の方の入り口は、向かって右側に開ける。そして、右側の幣殿と回路で繋がる。反対側の扉は、向かって左に開ける。それは、本殿側になる。大社造の社殿の真ん中には柱がある。(出雲大社で、「心の御柱」と呼ばれるようだ。)この柱から本殿の扉の中央までの直線は、奥の扉の中央を通るように配置する。大社造の社殿の周りには縁があるが、その欄には、同じ直線に沿って、御幣を設ける。この御幣の前に案を設置して、神事に使用する。
柱によって、奉殿の中は四つに仕切られている。奥の方は、祭祀を執り行う場所とする。祭祀の一部は、縁に出て、物を奉ると思うが、神楽や共食の儀の主にその間で執り行う。その手前の間は、参列者が座る場所とする。席から本殿は見えるはずだが、祭祀に進行しない限り、はっきりは見えないだろう。本殿が見えるために、座席の角度は、本殿への直線と正角する。つまり、参列者の視線は本殿に向かう。そのため、座席は奉殿の壁と平行線にならない。(もしかして、座礼を基本とするが、その場合こもなどの配置はそうする。)そして、祭祀の間の右にある間は、祭員が控える場所とする。伶人もこの間に座る。角度として、本殿は見えないかもしれない。残っている間は、玄関のような役割を担って、最後のお祓いを行う場所とするだろう。
明らかになったと思うが、本殿の扉を開けることを辞めた。神産霊神社では、本殿の扉を滅多に開けないこととする。
そして、奉殿は一つしか設けない。非対称的な配置になる。それも意図的である。もしかして反対側にも何かを設けることとするだろうが、奉殿にならない。小祭は、同時に三つが執り行われられるような設定で、中祭は同時に二つできるが、大祭は一つしかできない。これも、祭の重度に合わせた意図的な設置である。
さて、場所は決めたので、次は祭祀の次第を考えなければならない。