潔斎が終わったら、大祭の次第は基本的に他の祭祀と同じだが、詳細をここで説明しよう。
参列者と祭員は列に並んで、参進する。伶人は大祭には必ず伴うので、参進の間にも奏楽する。まず、拝殿を左側から入って、右へ渡る。右に着いたら、奥へ進む。奥には依代になっている御幣があるので、昇神の儀を行って、御幣を退かす。そして、奥への扉を開けて、幣殿に進む。その後ろに、神職が扉を閉じて、降神の儀を執り行って、小祭を可能とする。幣殿では、依代はないので奥の扉を開けるのは問題ない。開けたら、奉殿まで進む。
奉殿まで参進すれば、祓の間で最後のお祓いを受ける。そして、着席する。
祭主が一拝して、祭祀を開始する。祭祀の第一段階は、開扉の儀である。警蹕を唱えながら、祭員が本殿側の扉を開ける。そして、奏楽の間、供物を縁にある案に供える。この供物は、神饌とは限らない。他の奉納するものもあるからだ。そして、共食の儀は後で行われる。次は神楽の奉納になる。他の芸能もこの間奉納することはできる。最後に、参列者は玉串を縁の案に奉る。大祭の玉串には、麻だけではなく、玉もつける。歴史的に、玉串などには玉をつける伝統があったそうだから、それを受け継ぐ。
奉納の後で、祭主が祝詞奏上する。祝詞奏上は、本殿の扉への線の上で、奉殿の端に座って奏上する。つまり、縁には出ない。
最後は共食の儀。共食の儀では、ご飯とお水はもちろんのこと、味噌汁と香の物、そして海の幸と山の幸を提供する。その後、果物と餅、お酒を共食する。中祭のように、参列者は祭員と協力して、神様の御膳を供える。そして、祭員が参列者の御膳を出す。共食の儀は、祭祀の間で食べるが、神様の座は、奉殿の端に設ける。座は奉殿の中にあるが、それはギリギリとする。御膳は案にあり、座の手前に置く。食事の量はもちろん少なくするが、共食の儀には時間がかかると思える。そして、食事の詳細は、季節や祭の内容によって異なると思う。
共食の儀が終わったら、祭主が一拝して、皆が後退する。後退の行列は参進と同じパターンで、潔斎殿に戻る。そして直会を行う。
では、大祭の儀の問題点がある。共食の儀と奉納のために、たくさんのものが必要となるだろう。特に共食の儀の食物と飲料は多い。それは、奉殿に置いておくことはできない。神聖な空間だから、乱れに入ったり出たりするわけにはいかない。だから、参進の行列には、すべてのものを持つ必要がある。伝統を鑑みれば、唐櫃という容器に入れて、祭員に持ってもらうのは良かろう。伊勢の神宮の式年遷宮では、神宝などは唐櫃に入れて提供するので、それは相応しい。そして、唐櫃が参進行列に加わることは、尊厳性を高めると思われる。
大祭の次第にはちょっと時間がかかるが、潔斎には一夜がかかるので、日にちを割いてもらうのは当然である。一時間はかからないと思える。しかし、空間も、服装も、行動も特別だから、神聖な認識が保たれるのではないかと思う。