教室の外で、
「どうだった?」
「女列安道だった。」真理安が言い捨てた。
「女列安道センセイ!」華多離菜が小さな声で戒めた。「今でも聞いてるでしょう。」
「先に去ったじゃない。もう姿は消えた。」
「いなくても聞こえると言われますよ。呪力は強いです。」
「できるだろう。が、僕たち子女の話を聞くために力を費やすものか。それほど関心はなかろう。」
「先生ですけれども。」
「嫌な奴だ。あっ、ちょっと支えて。」華多離菜が素早く手を出して、真理安を傍で支えた。真理安は力を抜けて、友達に寄り付いた。
「大丈夫?」
「まぁ、うん。ただ。ちょっと座らせて。」
「ここ?椅子はありませんわ。」
「そうだね。寮まで支えてもらえる?」
「いいわよ。では、腕を私の肩に載せてください。はい、その通りです。一歩ずつ、歩きましょう。」
「ありがとうね。大変疲れた。」
「光の呪いでしょう?」
「うん。」
「それはきついですわ。私だって、到底できませんよ。」
「華多離菜は、植物は得意けどな。」
「まあ、本当にそうかしら。真理安さんこそ、植物でもうまく操れますよね。」
「まあね。」
二人は寮の扉について、真理安が手を出して、指の振るいで開けた。中に入った途端、椅子に落ちて、頭を手に置いた。
「でも、疲れた。女列安道は無理を押し付けるぞ。光は、普段匠になってからの技じゃん。」
「お水を持ってきますね。女列安道先生は、真理安さんの才能を認めているのではないでしょうか。」
「本当にそうと思うか?むしろ、失敗させようとしているじゃない?3年生の科目はもう履修したから、30歳の技を押し付けているだけじゃん。」
杯を持っていた華多離菜が微笑んだ。
「そうかもしれません。真理安さんがいつも女列安道先生の悪口をしていますので、先生の復習でしょう。」
「ふざけるな!」真理安が頭を上げて、華多離菜を見つめた。「本当に辛いよ。」華多離菜の顔が瞬く間に変わった。
「すみません。そうですね。どうぞ、お水を持ってきました。」
「あ、どうも。」真理安が水を飲んで、ちょっと気力を復活した。「いやいや、本当にムカつくな匠だな、女列安道め。」
「真理安さん!」華多離菜はショックで声を上げたが、次の瞬間また小さくした。「本当に聞こえるかもしれませんよ。そして、匠ではなく、大師です。もう数百年間この学堂を指導しました。」
「もう引退したらよかろう。」華多離菜を見て、真理安がすぐに続いた。「はい、はい。聞いているだろう。とにかく、次の時限の前に着替えるね。汗は嫌だ。」