翌晩になると、華多離菜と真理安はまた寮で寝た。他の学生も、綺麗に並んだベッドで寝て、部屋が静かだった。天井の真下で、光の塊が浮かんで、緩やかな輝きを部屋の隅まで放った。その中で、真理安が音を立てないようにベッドから滑り出て、華多離菜のベッドの側まで行った。しばらくの間、華多離菜の顔を見ながら躊躇したが、決意して手を伸ばして、肩を優しく振った。
「ね、華多離菜!起きて!」と真理安が呟いた。「ね、華多離菜!」華多離菜の目が覚めて、叫びそうな顔をしたので、真理安が速やかに手で口を塞いだ。「僕だ。静かに。」
「真夜中ですもの。何?」華多離菜も呟いたが、目が光に答えて輝いた。
「一緒に図書室に行かない?」
「図書室?え?今?」
「勉強しろと言われたし、図書室は原則としていつでも開いているし」真理安が説明しようとしたが、華多離菜は頭を振った。
「静かに。ちょっとあっちへ行きましょう。」華多離菜も静かにベッドから起きて、袿を羽織った。二人で、寮の隅まで行って、低い声で話し続けた。
「図書室は規則違反であるかどうかではなく、なぜ真夜中に行こうとしているか、と聞きたいのです。」
「勉強のためだろう。」
「真理安さん・・・」
「はい、はい。勉強だよ。ただ、幕内の本を見たいんだ。」華多離菜がまた息を呑んだ。
「その本は!」
「禁じていない。学生なら、閲覧する権利あるんだ。」
「でも・・・」
「監視するだけだ。真夜中なら、監視を受けずに見えるもん。老婆に監視されずに勉強したいんだ。」
「何か探すつもりでしょう。」
「一緒に行こうよ。」
「真理安さん。」
「お願い!」
「では、ちょっと着替えましょう。」
「いやだ。皆が起きちまう。」
「真理安さん、袿一枚で行きませんわ。あなたは素っ裸ですし。」
「この方が楽しいもん。」華多離菜が口を開けて、一瞬何も言わなかった。そして、
「ただ裸で学堂を歩き回りたかったら、図書室に行く必要はないでしょう。そうなら、廊下や食堂まで付き添いますわ。」
「違う!冗談だった。何か着るよ。図書室に行きたいんだ。」
「そっか。まあ、図書室にそれほど行きたかったら、私も一緒に行きます。さっと着替えますわ。」
二人がすぐに寮を密かに出て、学堂の夜の廊下を通った。廊下には光は灯されていなかったので、窓から入る月光で毎日行き来した道をたどった。図書室の扉に着くと、二人とも息を荒くしながら立ち止まって、耳を澄ました。何も聞こえなかったので、目を合わせて進むことにした。真理安が扉に手を出して、ゆっくり、ゆっくり押し開いた。そして、隙間が開くと二人共が中にすっと入って、扉を後ろに閉じた。
図書室の真ん中で高い天井から光の滝が流れ落ちて、川のように本棚の間を縫って本を照らした。