椿堂7

翌晩になると、華多離菜と真理安はまた寮で寝た。他の学生も、綺麗に並んだベッドで寝て、部屋が静かだった。天井の真下で、光の塊が浮かんで、緩やかな輝きを部屋の隅まで放った。その中で、真理安が音を立てないようにベッドから滑り出て、華多離菜のベッドの側まで行った。しばらくの間、華多離菜の顔を見ながら躊躇したが、決意して手を伸ばして、肩を優しく振った。

「ね、華多離菜!起きて!」と真理安が呟いた。「ね、華多離菜!」華多離菜の目が覚めて、叫びそうな顔をしたので、真理安が速やかに手で口を塞いだ。「僕だ。静かに。」

「真夜中ですもの。何?」華多離菜も呟いたが、目が光に答えて輝いた。

「一緒に図書室に行かない?」

「図書室?え?今?」

「勉強しろと言われたし、図書室は原則としていつでも開いているし」真理安が説明しようとしたが、華多離菜は頭を振った。

「静かに。ちょっとあっちへ行きましょう。」華多離菜も静かにベッドから起きて、袿を羽織った。二人で、寮の隅まで行って、低い声で話し続けた。

「図書室は規則違反であるかどうかではなく、なぜ真夜中に行こうとしているか、と聞きたいのです。」

「勉強のためだろう。」

「真理安さん・・・」

「はい、はい。勉強だよ。ただ、幕内の本を見たいんだ。」華多離菜がまた息を呑んだ。

「その本は!」

「禁じていない。学生なら、閲覧する権利あるんだ。」

「でも・・・」

「監視するだけだ。真夜中なら、監視を受けずに見えるもん。老婆に監視されずに勉強したいんだ。」

「何か探すつもりでしょう。」

「一緒に行こうよ。」

「真理安さん。」

「お願い!」

「では、ちょっと着替えましょう。」

「いやだ。皆が起きちまう。」

「真理安さん、袿一枚で行きませんわ。あなたは素っ裸ですし。」

「この方が楽しいもん。」華多離菜が口を開けて、一瞬何も言わなかった。そして、

「ただ裸で学堂を歩き回りたかったら、図書室に行く必要はないでしょう。そうなら、廊下や食堂まで付き添いますわ。」

「違う!冗談だった。何か着るよ。図書室に行きたいんだ。」

「そっか。まあ、図書室にそれほど行きたかったら、私も一緒に行きます。さっと着替えますわ。」

二人がすぐに寮を密かに出て、学堂の夜の廊下を通った。廊下には光は灯されていなかったので、窓から入る月光で毎日行き来した道をたどった。図書室の扉に着くと、二人とも息を荒くしながら立ち止まって、耳を澄ました。何も聞こえなかったので、目を合わせて進むことにした。真理安が扉に手を出して、ゆっくり、ゆっくり押し開いた。そして、隙間が開くと二人共が中にすっと入って、扉を後ろに閉じた。

図書室の真ん中で高い天井から光の滝が流れ落ちて、川のように本棚の間を縫って本を照らした。


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