華多離菜の渦巻きが横に伸びて、岩盤の上の薄い泥の層を壁と天井とした。二人が、真理安のてから放たれていた明かりで足元を確認しながら、前へ進んだ。
「おい、見て!」と真理安が急に言い出した。しゃがんで、小銭を岩から拾った。「金だよ。運がいいね。吉兆なんだ。」立ち止まって、小銭を眺めた。「この模様、見たことないな。古いだろう。」
「そうかもしれませんね。誰かが昔、湖の中に落としてしまいました。」
「そうだね。では、今、私たちの成功を予告する吉兆だ。」
「そうかしら。」
「きっとね。」二人がまた前へ進んだ。「もう少しなはずなんだ」と真理安がつぶやくと、水と泥の壁の下から囲炉裏の中の炭のような赤い明かりが見えてきた。「あれだ!」と真理安が叫んで、前へ走った。後ろから、水に入らないように、華多離菜が追ってきて、渦巻きを前へ伸ばした。
岩盤には赤黒の光で弱く照った丸が書かれたし、丸の線の間に文字も見えた。
「広げて。」華多離菜は、文字を見つめながら、渦巻きをより広くさせて、模様の全てを披露した。
「本当なんだ!」真理安が笑った。「書いてあった通りなんだ。牢獄だ。」
「開けるのですか?」
「開けると決まっているだろう。ただの呪いの閉鎖だ。その上、記録でかなり詳細までは書いてあったんだ。ただし、感知の機能も付いている。警備員が邪魔にならないように、ちょっと気をつけなきゃ。」
「あのう、真理安さん、本当に開くつもりなのですか?もう見つけましたので、これで帰ったらいかがでしょうか?」
「えっ?一体何を言っているんだい?まだ何もやっていないだろう。これで何も見せられない。」
「この牢獄は、秘密ではありませんか。その秘密を解かせた成果でも充分能力を証明したのではないでしょうか。」
「悪魔を追い払うんだ。華多離菜は怖ければ、帰っても構わん。一人でも出来るもん。」
「いいですわ。一人にさせるものですか。ただし、これは牢獄の閉鎖であれば、本当に溶かしてもいいのかしら。」
「悪魔を封印する呪いじゃないよ。ただ私たちが入らないような工夫に過ぎない。静かにして。完全に解除するのはやばいので、一時的に抑制する。でも、感知の機能だな。どこにあるんだ。」自分に囁きながら、真理安が丸の外側を一回、二回、三回回った。わからないうちに、囁きが唱えに変わって、文字からの明かりがだんだん強くなってきた。強くなって、また弱くなって、繰り返して変わって、真理安の心臓の動きと一緒に共鳴するようになった。
丸が一瞬太陽のように光って、暗くなった。文字はもう空気の上に光って、降りる階段を見せた。
「開いたぞ。」
「は・・・はい。本当に開けたのですもの。」
「信じなかったんだ。」
「いや。信じました。でも。でも。本当にすごいですね、真理安さん。大師等がかけた呪文を解けましたわ。」
「一時的だよ。今入るんだ。行こう。」