真理安と華多離菜が椿堂へ帰った。入り口で恵純理英が待っていた。
「判決は?」
「資格停止です。」恵純理英がため息した。
「よかったです。では、お前たち、私とついてこい。話があります。」
反論を考えもせず、学生が先生について学堂に入って、先生の研究室に行った。恵純理英が机の奥で座って、二人を見上げた。
「自分の行為を理解しますか?」声は厳しかった。
「ただ大学に貢献するように・・・」と真理安が始めたが、恵純理英が急に立ち上がった。
「違う!」と怒鳴った。華多離菜が思わず一歩下がった。先生が深呼吸しながら、自己管理を取り戻したが、座らなかった。「自分の勝手な思いに従って、破滅的な被害を椿堂にもたらした。」
「そんなことしたはずはない。」と真理安が反発したが、恵純理英がまた叫んだ。
「黙れ!何がわかるか?黙って聞きなさい。」二人を見つめてから、恵純理英が背を向いて、窓越しの学堂を見ながら話を始めた。
「この大学が設立した時点では、呪術師の過半数は女性だったと言われています。大半という書類もあります。現状がわかるでしょう?椿堂しか残っていません。女性の大師は、女列安道先生は最後だった。この数百年間で、女性を除外する動きが続いてきた。お前たちは覚えられないし、歴史に興味を持っていない。」また学生を見るように回った。
「女性の学堂の設立は、600年前の百合堂は最後でした。百合堂は、500年前に、「自然に違反する行為」のために廃堂となりました。それを機に取り調べがありましたが、他の女子堂の三箇所も廃堂となりました。それから、女子堂の設立を目指す動きは数回ありましたが、評議員会は百合堂の事件を理由として許可を降りませんでした。規則では女子堂の設立はまだ認められていますが、事実上350年前から禁じられていると言えましょう。」
「そして、300年前には、売春騒動がありました。さすがに今の学生でもこれを学んだでしょうね。」
華多離菜が頷いたが、真理安はわからないと言わんばかりの顔だった。
「まさか。華多離菜、説明してください。」
「はい、先生。300年前に、学堂に属していない女子学生は、自分の売春で学費を賄ったことが発覚されました。それを廃絶するための措置は取れましたが、その一部は、学堂に属していない女子学生は認めなくなりました。この規則は、現在まで有効です。」
「その通りです。では、250年前に鳩堂は経済的な困窮に陥って、余儀なく廃堂されました。外圧の関与があったかどうかはまだ不明です。当時、私たちが疑いましたが、証拠は得られませんでした。それはともかく、次の柳堂は、陰謀だったに違いありません。男性の匠が罠を掛けて、経済的な問題を発生させました。証拠もありましたが、評議員会が却下した。」恵純理英が机を見つめて、話を続けた。
「それからの30年間ぐらいに、女子堂を集中的に襲った。自然に違反する行為やら、売春やら、資金不足やら、学力不振やら、何らかの言い訳で女子堂の廃堂が相次いだ。それが終わったら、この椿堂しか残っていなかった。なぜ残ったか、わかる?」
返事はなかった。
「女列安道先生の守りだ。大師の中でも勢力を持つ大師で、椿堂の後ろ盾になっていた。他の女子堂を守ることは、女列安道先生でもできなかったが、自分は堂長だった椿堂を、辛うじて守り抜いてきた。」
「そして、お前の無責任で、この女列安道先生は、資格停止になっている。椿堂の廃堂を狙う勢力が動くに違いない。今回、止められるかどうか、わからない。」
「お前たちは、椿堂を滅ぼした。」