恵純理英の研究室を出たら、真理安と華多離菜が寮の方へ歩き出したが、真理安が寮に入らずにまっすぐに続いた。
「ねえ、真理安さん!」真理安が足を速めていたので華多離菜が半分走って追いかけた。
「・・・のことかい?ただ貢献したかったのに。全て僕のせいにするなんて、許せん。」真理安がずっとブツブツ言って、自分につぶやきかけた。学堂の裏門を出て、山の坂道を登り始めた。
「真理安さん!どこへ行くつもりですか?」
「椿堂を立て直すための行動じゃん。僕は椿堂の的なんてありえねえ。」まだ登り続けて、道を出て、森の中に入り込んだ。華多離菜は、周辺を見渡してから、さらに後を追った。木漏れ日で顔が現れたり隠れたりする間に、真理安がまだ文句を言った。
「規則自体はおかしくない?女性には呪術はふさわしくないなんて、認められん。僕だって、呪力強いぞ。この僕の力を見せてあげようか。理事どもは後悔するぜ。馬鹿なことをやったな、そのヤツら。」
急に立ち止まって、大きな木に寄りかかった。華多離菜が隣にきて、聞いた。
「真理安さん?帰りましょうか?」
真理安は、涙がこぼれそうな目を華多離菜に向いて、嘆いた。
「僕、何をしてしまった?」涙が流れ出て、声も積もった。それで、もう立つことができない様子で、木の幹を抱きながら膝を地面について、半分倒れた状態で号泣。「僕、一体何をしてしまったんだ?もう終わりだ。」
華多離菜は、友達を抱きしめて、隣で静かに待ってあげた。真理安の泣き声が山を響き渡ったが、誰もいなかったようだった。長らく泣いて、腕を幹から華多離菜に移して、お互いに抱き支えようとしたが、それでも華多離菜に寄りかかった。華多離菜の涙は、静かに流れて、真理安の髪の毛を染めたが、華多離菜の胸が濡れて言った。昼が過ぎて、太陽が降るようになるが、真理安はまだまだ泣いていた。静かになったし、涙もほとんどなかったが、体全体が震えて、華多離菜の制服を握りしめて、放すと落ちるかのように支えてもらった。
「椿堂が終わるんだ。」ととうとう言い出した。「僕のせいで滅ぶんだ。もう巻き返すことはできない。僕も、生きない方がいいぞ。迷惑というより煩いしかもたらさない。」
「いいから、いいから。」と華多離菜が優しく言いながら、髪を撫でた。「そのことはありませんわ。」
「椿堂を滅ぼしただろう、僕。華多離菜に聞いたら良かったのに。」
「まだ滅んでいませんわ。」
「何もできん。」
「そう決めればそうかもしれませんが、私はそう信じませんわ。真理安さんは、才能も精力も溢れています。何かできるに違いありません。」
「でも・・・」
「私たちの責任ですわ。私たちが問題を起こしましたので、私たちは解決に努力しなければなりません。そう決まっています。」
真理安の涙が止まっていた。
「それはそうだが、何をしたらいいか、さっぱりわからない。」
「では、一緒に考えましょう。ね、真理安さん?」
「はい。はい。」真理安が華多離菜の制服を放して、自力で立った。華多離菜も立って、一歩下がった。
「妥当な対策を考えよう。一緒に。」