「椿堂を廃堂するために、何が必要?武力で攻撃してくるはずないだろう。」
「そうですよね。大学の規則に基づいて閉鎖したりするでしょう。」
「僕、規則は苦手・・・」
「そうですよね。」
「おい!」
「すみません。」
「まあ、いい。確かにそうだった。僕悪かったんだ。とにかく、規則はよくわからないので、どうやって廃堂に追い込むかは、わからん。」
「まあ、学堂は任意で解散できますわ。」
「そうするわけねえじゃん。」
「圧力をかけられたら、そう簡単に対抗できない場合もあると思います。」
「圧力に屈しないのは得意。強制的な廃堂を考えよう。」
華多離菜が微笑んで、続いた。
「主に三つの根拠がありますわ。一つは経済不振です。そして、学歴不振もあります。最後は、倫理的な明らかな劣等性です。歴史的にその三つは女子堂に対して使われています。」
「へええ。なるほど。経済不振は問題にならないな。」
「私も、そう考えられないのです。問題の証は全くありません。陰謀がない限り、経済力を理由として廃堂できないでしょう。」
「まあ、陰謀がないとは限らないな。でも、気をつけるしかない。経済力あるし。他は倫理と学歴だろう?それも問題ないと思うが。」
「倫理面では、学生の著しい規則違反が問題となる判例もありますわ。例えば、無断に禁足地に侵入することは、学堂全体を批判するために使われることもありえます。」
「わかった、わかった。椿堂は狙われているので、皆に規則の厳守をもらうしかない。大丈夫だろうね。講義に出席したり、勉強ちゃんとしたり、暴力などを避けるぐらいな。」
「真理安さん、規則は読んだことはないでしょうね。」真理安の顔がちょっと赤くなった。「制服の規則もありますわ。身振りや作法の規則も定まっています。食事の規則もありますが、従う学堂はいないと言われています。」
「だが、私たちは従うべきだよな。」
「その通りです。食事が質素になりますけれども。」
「仕方ないな。では、過去の廃堂で使われた倫理違反は何?」
「売春と自然に違反する行為は多かったですわ。」華多離菜がちょっと赤くなった。
「売春?それはあるはずない。」
「しかし、ただの交際を売春と位置付けたこともあったらしいですわ。男子学生との交流を全体的に怪しげたようです。」
「ふうううん。それで、自然に違反する行為なんて、一体何?悪魔を呼び寄せることなど?」華多離菜がさらに赤くなった。
「同性愛のことだったようです。」
「えっ?何で?」
「当時は、性的な行為に大変敏感だったようです。」
「でも、今は違うだろう。」
「前例はまだありますわ。」
「そうだな。狙われているし。使うよね。」
「使うと思います。」
「質素な食事はとにかく、完全に性的な行為をやめてもらうのは難しいな。」
「それはどうかしら。」
「まあ、確かに華多離菜には彼氏はいないが、皆はそうではない。」
華多離菜は、真理安の顔を見ずに反発した。
「真理安さんも、彼氏はいませんわ。」
「はい、はい。そうなんだけど。彼氏のいる子もいるよ。いちゃいちゃすることを見るだろう。時々聞こえるし。」
「はい。ただし、」華多離菜が早口で真理安の話を遮った。「学堂が完璧になる必要はありません。個人を罰することはありえますが、廃堂に追い込むために一般的な行動が必要となります。少なくしたり、隠したりすれば、廃堂に当たらないのでしょう。」
「そうだな。では、皆に言おう。椿堂を救うために、質素な食事を食べたり、交際をやめたりしよう。」
「そうですね。説得できると思いますか?」
「お任せください。」
「では、学歴のことです。」
「え?椿堂は1位か2位を保っているだろう。問題全くない。」
「違います。大きな問題があります。これこそ、評議員が狙っていると思いますわ。」