椿堂の門が閉まっている。パンと野菜を搬入する商人も門で荷物を学生に手渡して、塀の中へ入らせていただけない。肉を運ぶ商人は滅多に近づかないが、女子学生が喜んで出向いて、荷物を受ける。誰も入らないし、学生も外へ出ることが珍しくなっている。男子学生は、門周辺の居酒屋で群れて、窓のない石壁へ視線を向かって、門の動きを待ち望む。しかし、門が開いても、出る学生は制服を正しくして、頭に帽子をかぶり、世間話をせずに用事を素早く済ます。噂が飛び交う。大きな魔術を隠すために封鎖されていると。学生が密かに大学を出ていると。兵士になるために秘密訓練をしていると。性的な呪術を実現していると。
証拠も根拠もない。ただ時間潰しででっち上げの話だが、一人歩きする。噂と疑いになる。評議員会が理由として、学堂の立ち入り検査に踏み込む。谷入警備長と羽空理事を先頭に調査団が門へ進行して、叩いて入らせるように訴える。
門がゆっくり開く。中から三人が出向いて、先頭に恵純理英匠が立つ。調査団は入らされるが、門がまた閉まる。居酒屋で待つ男子学生には情報が漏れない。
「ご迷惑をおかけしております。」と恵純理英が言った。「お忙しい中、調査を必要と感じさせてしまいまして、申し訳ございません。」
「黙りなさい。」と谷入が怒鳴った。「ここで何か不吉なことを行っているのは明白だ。精密検査する。」
「畏まりました、警備長。」
羽空は、谷入が見るところより、頭を傾きながら恵純理英や学生を見つめた。しかし、最初は調査団に同行して、何も言わなかった。
図書室で学生が静かに勉強していた。羽空は、読んでいる本を一々検査させたが、定番の教科書ばっかりだった。学生を立たせて、勉強道具なども調べたが、その時羽空が学生を一周して、制服を確認した。その厳しい眼差しの下で学生が震え始めたが、それでも羽空は何も言わなかった。恵純理英も、言葉を控えた。
調査団が食堂に進んだが、調理中の食事は野菜とパンだけだった。谷入は倉庫なども探ったが、そのような食材しかなかった。谷入の挫折感が明白に高まり、寮へ向かって、入った。ベッドの間は目隠しによって遮断され、個室のような構造になっていた。それから、浴室の方へ行ったら、恵純理英がやっと言い出した。
「警備長、すみませんが、学生は今使っています。」それでも、谷入は止まる気を示さなかった。入り口に着いた瞬間で、羽空がやっと言葉を出した。
「警備長、待ってください。浴室に乱れに入ってはいけません。」
「何かを隠しているかもしれない。」と強く反発して、扉を開けようとした。
「谷入警備長!やめなさい!」羽空の声は厳しかった。「まず、恵純理英匠を入らせて、学生の支度をさせろ。」
「証拠隠蔽の余裕になる!」
「すべてを浴室に隠そうとしたら、数分で隠蔽できるはずはない。それを言い訳に女子学生の浴室に入らない。恵純理英匠、支度をお願いします。」
「了解しました。少々お待ちください。」恵純理英が浴室に入って、すぐに学生三人が濡れた髪で出て、慌てて着た制服を正しながら調査団に挨拶した。調査団が入ったが、お風呂以外何もなかった。
やっと調査が終わったが、羽空はまだ検査を続けようとした。しかし、羽空が許さなかった。
「お邪魔しました、恵純理英匠。ここの学生は、確かに規則に従ってやっていますね。」顔はちょっと悲しかったが、恵純理英は会釈で言葉を受け入れた。
「ご判断はありがとうございます、理事。」