神社本庁の設立70周年

今日をもちまして、神社本庁が設立70周年を迎える。まず、ご祝福を申し上げる。

そして、私の独自の立場から、神社本庁のあるべき姿を考えたいと思う。

設立当時には、戦前の神社が国家の管轄下に入る状態を取り戻そうとしたのは明らかだ。行政を思わせる「庁」の字が入る名称を選んだことも証拠であるし、過去の神社人の話を読んだら明白である。その意味で、神社本庁の原点に戻るべきではないと思う。まず、現実的ではない。神社を国家の管轄に入れるのは明らかな憲法違反であるし、特定の宗教の擁護を認める憲法に改正することは、国民に受け入れる可能性は今の所ない。そして、好ましくないと私は思う。前にも触れたが、例えば仮に共産党が政権を立てることになったら、国家の管轄にある神社はかなり危うい。独立した宗教法人の資格の方が安定しているし、長期的に安全であると思う。確かに、現行の制度では、宗教法人と行政の関係は薄すぎる場合もある。例えば、震災の後で、神社やお寺の復旧には行政からの支援はほとんどないそうだが、それは問題であるといえよう。それでも、神社本庁は民間の宗教法人として将来に歩むべきだと思う。

活動として、神社を管轄することではなく、神社を支えることが良いと思う。まずは、現実問題だが、個別の神社はいつでも神社本庁から離脱する権利は法律によって保障されている。神社には、本庁に属するメリットを提供するために、神社に役に立つことを提供した方が良いのではないか。この役割は今でも大きく果たしていると言える。例えば、神職の養成講座を用意している。小規模な神社では、人材の育成も行うのは無理だろう。だから、神社本庁の提供はありがたいと思える。そして、祝詞の例文集も提供するが、それは日常的な祭祀にも大きな援助になる。それに、法律上の手続きの指導も提供するようだ。法律の届け出などはややこしいので、よくわかる機関からの助言は大変役に立つ。これよりさらに貢献できる方法を考えたら素晴らしい。

そして、深刻な問題の解決に向けた方が良い。今の所、神社本庁が重視する問題は外交、憲法、皇室のあり方であるようだ。この問題は、神社本庁が権力を持っていない問題ばかりだ。意見を持つのは自由だ。このブログで、私は権力を持たない問題ばかり扱うが、これは個人のブログだ。(この投稿もそうだし。)川崎市の委員会で審議する場合、なるべく委員会の管轄に絞って審議する。そうすると、審議の努力に報いがあると期待できる。外国人市民の生活は話題だが、参政権は市の管轄ではないので、参政権についての提言を掲げても、意味は薄い。つまり、自分に解決できる問題に重点を置くべきだ。

神社本庁の場合、その問題は二つあると思う。

一つは過疎化である。そのため、不活動宗教法人が発生している。つまり、神社は鎮座するが、その周辺にはもう住民はいないので、祭祀などは執り行われていない。宗教的な活動はなくなっている。まだその状態に陥っていないが、危機的な状態にある神社も少なくないそうだ。もちろん、過疎化を解決することはできないが、過疎化の解決に貢献できる神社の活動や過疎化を前提とする不活動宗教法人対策を打開することはできるだろう。そのような対策には資産が必要となるはずだから、全国の神社からお金を集める神社本庁は、お金は一切ない不活動神社に提供することは必要なのではないか。

もう一つの問題は、式年遷宮が大きく報道された中、そして参宮者数が過去最高になった中、神宮大麻頒布体数が減少を続けたことによって象徴されている。神社や神宮のブームの真っ最中であっても、神社本庁が推薦する祭り方から人がどんどん離れていく。神道のあり方を見つめなおして、衰退を認めるか、対策を講じるかと決めた方が良い。(私は個人的に、しばらくの間神宮のことを置いて、氏神様との絆と家庭祭祀の復興を重視したほうが良いと思う。それが基盤となって、次回の式年遷宮で神宮のことがまた報道されたら、受け皿は用意されているのではないか。)

神職の後継者問題は、この二つの問題と深く関わると思われる。生業としての経済的な基盤もなくなっているし、現代の若者には神社本庁が提供する道は魅力的ではない。そのため、神職になりたい若者は少なくなっている。

この二つの問題と真剣に取り組めば、神社本庁はもう精一杯になると思われる。解決すれば、神社界の活気が戻るのは明らかだ。解決すれば、溢れている活力を持っている神社界で、社会問題と取り組むようになる。そして、神社の死活問題の解決に大きく貢献した組織として、神社本庁の地位は確保できたのではないか。

この問題は、神社本庁は無視しているわけではない。不活動神社にの対策を考えて、対策を導入する神社庁を指定している。祭祀離れの問題も、昨年の方針である程度反映された。つまり、真新しい活動を開始すべきではなく、今も行っていることの比重を変えたほうが良いと思っている。

ただし、私の管轄を完全に逸脱することだから、ブログの投稿の内容に過ぎない。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: