外国人のために神社神道を紹介したかったら、大きな壁がある。それは、外国語での信頼出来る入門書は非常に少ないことだ。英語なら、50年前に著された本があるが、他は学術書か信頼できない内容かの本ばかりだ。学術書は興味深いが、初心者向けではない。より広い背景がわからないと、何が一般的であるか、何がこの特殊であるかはすぐにわからない。それに、神道についての本は非常に少ないのだ。前にも触れたが、長期的な戦略として、私は英語の入門書などを書くつもりだから、この問題に貢献できればと思う。
それでも、本だけで問題解決はできない。なぜなら、神道は知識より行動を重視する宗教であるからだ。本を読むだけで、神社神道を把握することはできないだろう。一方、体験だけなら、理解できない。体験した祭りなどの解釈も必要である。このようなことは、日本人でもあまり提供されていないような気がするので、もしかして日本人版も望ましいだろうが、この投稿で外国人向けの問題を考えたいと思う。
まずは、外国人に日本に来てもらって、体験と解釈を提供するべきだと思う。海外で神社神道の伝統などを構築することは、膨大な労力や費用が必要となるので、すぐにできるわけではない。(例外はある。すぐに思い浮かぶのは、ハワイの神社とアメリカのワシントン州に鎮座するアメリカ椿神社だ。)
そして、日本に来た外国人には、宿泊を提供したり、体験と解釈を提供したりすることになる。解釈から考え始めよう。
重要なのは、解釈を外国語で提供することだ。日本語を学ぶには数年間がかかるので、神道に興味を持つ人をそれほど待たせるわけにはいかない。確かに、長期的に神道の知識を深めたいなら、日本語を身につけるべきであるが、それを最初の段階で要求するわけにはいかない。客観的に見れば、最初は英語の講座を用意するべきだろうが、韓国語や中国語も導入するべきなのではないか。確かに、講師の確保は大変だが、ここで理想の話をしている。解釈は、体験の前の作法と意味を説明して、体験の後で話し合いや振り返りを指導することは良い。
体験といえば、もちろん神社参拝を体験させるべきである。そして、家庭祭祀の作法などをさせたり、禊をさせたりするのも良いだろう。できれば、ちょっと大規模な祭りの参加も提供したいのだ。御神輿の担ぎ手になってもらうのも良かろう。理想といえば、複数の神社で体験した方が良いのではないかと思う。神社神道の多様性は重要な一面であるので、それも体験させるべきである。ただ、その移動は大変になるだろうから、結局ひとつの拠点で行うことになるのではないかと思う。
体験と解釈に加えて、神道の神話と歴史を紹介して、現在の神社神道の組織的な構造も説明した方が良いと思う。活動の形式に大きな影響を与えたので、ある程度理解しないと、現在の神社神道を理解できない。必要な内容を考えれば、1週間の講座が必要となるのではないかと思われる。本当に入門に過ぎないが、しっかりした入門はできると私は思う。
ただし、神道は宗教であれば、これは布教活動にあたるかどうかは問題になる。次回、その点についてちょっと論じたいと思う。