入国審査

先日、イギリスに行ってきた。日本のパスポートで海外に行くのは初めてだったし、イギリスを国民ではない状態で訪れることも初めてだったので、入国審査はどうなるかは、ちょっと心配していた。

イギリスで、パスポートを渡したら、次のような会話があった。(英語での会話だったのはいうまでもない。)

「何年間日本に住んでいますか?」

「13年になります。」

「パスポートを入手できないと思いましたね。」

「実は、アメリカやカナダより難しくありません。」

「珍しいですね。あまり見ない。では、ご家族を訪れていますか?」

「はい、その通りです。」

「ところで、イギリス国籍を放棄しなければなりませんでしたか?」

「そうです。残念です。」

「では、どうぞ。」

「ありがとうございます。」

やはり、白人の日本人、さらにイギリス訛りで英語を話す白人の日本人は珍しいようだ。このような会話は、本当に日本国籍を取ったかどうかを確認することにもなる。気軽にそのような質問に答えられれば、本当の話である可能性は高いのではないか。だから、審査員の個人的な好奇心だけではなく、業務を果たすための質問だったと思える。

では、日本に帰国したら、どうなるかとも思った。初めて「日本の旅券」の窓口の列に並んだが、誰も何も言わなかった。そして、窓口に行ったら、審査員は「研修中」のバッジを身につけていた。それでも、反応は全くなかった。ただパスポートを取って、見て、通らせた。

歴史上日本国籍を取得した白人は1万人に足りない可能性がある。(明治以降の合計は58万人程度であるそうだ。)審査員は研修中であれば、もしかして初めて白人の日本人を見たかもしれない。それでも、反応は一切ないのは素晴らしい。やはり、研修の一部はその反応しないことになるだろう。

他の帰化者と話せば、このような経験は一般的であるそうだ。日本の入国管理局は、外見はマジョリティー日本人と違っても、反応しないそうだ。一方、海外の入国審査などは、びっくりして、質問することは多いという。「日本人に見えないね」と言われることもあるそうだが、そのような質問に過剰反応しない方が良かろう。珍しい者はやはり珍しいので、人はびっくりすることを予想して、覚悟した方が良い。

ところで、イギリスのパスポートで最後に入国した国はもちろん日本だった。帰化するために、日本にいなければならない。(申請中出国しても良いが、帰化許可が下る日には日本にいることは規則であるそうだ。)そして、初めて日本のパスポートで入国した国は、イギリスだった。相応しいと思う。


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