「世襲」の意味

日本国憲法は次の通り定める。

皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

では、「世襲のもの」はどういう意味だろう。二つあると考えられる。

一つは、法の下の平等などの憲法の定めにも拘らず、皇位を例外として、皇位を一つの家族の中で継承することを可能とする。

もう一つは、国会や政府は、皇室以外の人を勝手に皇位に就けることはできないようにする。憲法はそもそも国家の権力を制限する法律だから、権力者の好き勝手に皇位が決められないような措置であるとも思える。奈良時代の道鏡事件もあったので、再発防止策だとも言える。

問題ないだろうね。

将来を考えよう。仮に悠仁親王殿下が大人になっていたが、息子はいないとしよう。娘は、例えば3人はいるけれども。悠仁様が天皇になった時、皇嗣を誰にするかが問題となる。保守派の答えは、旧宮家を復帰させることだ。しかし、旧宮家は明治天皇の子孫である。悠仁様が天皇になられたら、それは5世代遡って、そして同じく5世代下がることになる。一方、天皇の子供の女性が存在している。

娘を除外して、5代上がったり下がったりすることは、本当に「世襲」であるのだろうか。それとも、行政の勝手であろうか。

争われると思える。そして、最高裁判所の決断を仰ぐ。その場合、どうするだろう。皇室典範が男女平等に違反することは見逃されているが、無関係ではない。女性を除外するために5代ずつ上がったり下がったりすることは、本当に合憲であろうか。

憲法改正を視野に入れようとすれば良いけれども、数十年先の日本で、女性を除外するために憲法改正できるのだろう。国会の両議院の3分の2も必要だし、国民の過半数も必要だから、できるかな。憲法では、天皇は男系男子であるべきとは書いていないので、皇室典範でそう定められても、憲法違反と判決されたら、無効となる。今日、宇佐神宮の託宣があっても、影響力はないだろう。

裁判になったら、結果は予想できない。もっとも、数十年先の裁判であるので、その時代の情勢はわからないので、予想できるわけはない。皇位が裁判で争われること自体はふさわしくないと感じる人もいるに違いないが、それは避けられない。そして、事前対策も難しい。今旧宮家を復帰しても、当時の状態が変わらないので、違憲である訴えはまだ可能。

悠仁様に息子ができたら本当にいいよね。問題を避ける確実の唯一の道だろう。


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